キーワード選定は、SEOの基本中の基本。
でも、「基本」だからこそ、多くの人が表面的な理解で終わってしまっています。
検索ボリュームだけを見て「このキーワードは月間1万回検索されているから狙おう」といった単純な判断では、現在のSEOで成果を出すことは難しくなってきています。
前回の「コンテンツSEOがオーガニック検索流入を最大化する理由」では、なぜコンテンツマーケティングがSEOの最重要戦略となったのかを見てみました。今回は、その効果を最大化するための「キーワード戦略」と「ペルソナ活用」について、見ていきたいと思います。
目次
まずはペルソナを作ることから始める
コンテンツSEOで成果を出すには、「誰に向けて書くか」を明確にすることが大切です。
多くの企業が「30代男性、会社員」といった漠然としたターゲット設定で終わってしまいますが、これでは効果的なキーワード選定はできません。もっと具体的に、その人の1日の流れや抱えている悩み、情報収集の習慣まで想像できるレベルまで落とし込む必要があります。
Google AnalyticsとSearch Consoleを使った現状把握
すでにサイトを運営している場合は、実際のデータを見てから始めるのが効率的です。
Google Analyticsでは、訪問者の年齢層、性別、地域、使用デバイスなどの基本情報が確認できます。特に注目すべきは「行動フロー」です。どのページから入って、どこで離脱しているか。この動きを見ることで、訪問者が何を求めているかが見えてきます。
Search Consoleはさらに重要です。
「検索パフォーマンス」のレポートを見れば、実際にどんな言葉で検索されているかがわかります。担当者が想定していたキーワードと、実際に検索されているキーワードは思っている以上に違っています。
顧客インタビューで本音を引き出す
データだけでは見えない部分を補う方法が、顧客へのインタビュー(ヒアリング)です。
最も価値があるのは「なぜその検索をしたのか」という背景を聞くことです。
例えば「SEO対策 費用」と検索した人でも、実際に聞いてみると「社内で提案するための相場が知りたかった」「予算を確保するための根拠が必要だった」など、様々な事情があることがわかります。
インタビュー(ヒアリング)では、以下のように聞いていきます
- 最初に課題を感じた瞬間はいつでしたか?
- その時、まず何をしましたか?
- どんな言葉で検索しましたか?
- 見つけた情報は役に立ちましたか?
- 最終的にどう解決しましたか?
質問攻めにならないように配慮して、聞き取りしていくようにしましょう。
ペルソナシートにまとめる
こういった取り組みで集めた情報を、実際に使えるペルソナシートにまとめます。
名前をつけて(例:マーケティング部の田中さん)、その人の1日を想像します。
朝の通勤電車でスマホでニュースをチェック、会社に着いたらメールを確認、午前中は会議が多く、昼休みにようやく情報収集の時間が取れる…といった感じです。
重要なポイントは、その人が「どんな時に」「どんな気持ちで」検索しているか。
焦っているのか、じっくり比較したいのか、上司に急かされているのか。この状況によって、使う検索キーワードも、求める情報も変わってきます。
競合サイトから学ぶキーワードの見つけ方
ペルソナができたら、次は業界内をチェックします。
自社サイトのデータだけでは、まだ獲得できていない潜在的なキーワードは見えません。そこで重要になるのが競合分析です。
本当の競合を見つける
SEOにおける競合は、必ずしも同業他社とは限りません。
狙っているキーワードで実際に検索してみて、上位10件に表示されるサイトがすべて競合です。意外なことに、個人ブログや比較サイト、Q&Aサイトが上位を占めていることもあります。これらのサイトがなぜ上位にいるのかを分析することで、ユーザーが本当に求めている情報が見えてきます。
無料ツールでできる競合キーワード調査
高額なSEOツールを使わなくても、競合のキーワードはある程度調べられます。
Googleで「site:競合ドメイン」と検索すれば、そのサイトがどんなページを持っているかがわかります。タイトルを見るだけでも、どんなキーワードを狙っているかが推測できます。
Ubersuggestの無料版(1日3回まで)を使えば、競合サイトの主要なキーワードと推定トラフィックが確認できます。完全なデータではないのですが、だいたいの傾向を把握するには十分です。
競合コンテンツの中身をチェック
キーワードがわかったら、実際のコンテンツを見ていきます。
- どんなタイトルをつけているのか
- どんな見出し構成になっているか
- どれくらいの文字数か
- どんな画像や図表を使っているか
- どんな内部リンクを張っているか
チェックしておきたいポイントは「競合のコンテンツに足りないもの」です。
上位表示されているコンテンツでも、最適化されていな箇所が必ずあります。そこを見つけて、自社のページでさらに良いコンテンツを作れば、後からコンテンツを充実して更新してもコンテンツで勝負できます。
検索意図を理解してキーワードを分類する
キーワードを集めたら、それらを検索意図で分類します。
同じ「SEO」というキーワードでも、「SEOとは」と検索する人と「SEO 会社 おすすめ」と検索する人では、求めているものが全く違います。
実際の検索結果から意図を読み取る
一番確実な方法は、実際にそのキーワードで自分自身で検索してみることです。
Googleは、そのキーワードに対して最も適切だと判断したページを上位に表示します。上位10件がすべて基礎知識を解説する記事なら、そのキーワードは「知りたい」意図。商品ページや比較サイトが多ければ「買いたい」「選びたい」意図だとわかります。
マイクロモーメントで考える
Googleが提唱する「マイクロモーメント」の考え方も参考になります。
- 知りたい(I want to know) → 「〜とは」「〜 意味」
- 行きたい(I want to go) → 「〜 場所」「〜 アクセス」
- やりたい(I want to do) → 「〜 方法」「〜 やり方」
- 買いたい(I want to buy) → 「〜 価格」「〜 購入」
これに当てはめることで、そのキーワードに対してどんなコンテンツを作るのが良いかがわかるようになります。
ロングテールキーワードを積極的に狙う
検索ボリュームは少なくても、複数のキーワードを使った具体的な検索ほどコンバージョンにつながりやすいです。
「SEO対策」より「SEO対策 中小企業 製造業」の方が、検索する人の状況が明確で、適切なコンテンツを提供しやすくなります。Google SuggestやラッコキーワードなどのツールI活用して、できるだけ多くのロングテールキーワードを見つけましょう。
優先順位をつけて実行計画を立てる
キーワードをたくさん集めても、すべてを同時に対策することはできないので、優先的に取り組んでいくことを決めて計画的に進めていくようにします。
自社サービスへの影響力で評価する
まず考えるべきは「そのキーワードで上位表示されたら、どれだけ自社サービスに影響するか」です。
検索ボリュームが多くても、自社のサービスとの関連性が低ければ意味がありません。逆に、検索ボリュームが少なくても、購買意欲の高いキーワードなら優先度は高くなります。
競合の強さと自社のリソースを天秤にかける
次に、現実的に上位表示が狙えるかどうかを考えます。
競合が大手企業のオウンドメディアばかりなら、正面から戦っても勝ち目は薄いでしょう。その場合は、より具体的なロングテールキーワードから攻めるか、違う切り口のコンテンツで差別化するかなど、上位表示するための戦略を考えます。
こうして、どれを優先して取り組むのかを決めて、取り組みを開始しま(笑)。
キーワードマッピングを作る
優先順位が決まったら、どのキーワードをどのページで対策するかを決めます。
基本は「1ページ1メインキーワード」です。
似たようなキーワードを複数のページで狙うと、自社内で競合してしまい(カニバリゼーション)、どちらも上位表示されなくなってしまいます。
エクセルなどで管理表を作り、以下の項目を整理します。
- ターゲットキーワード
- 対応するURL(新規作成or既存ページ)
- 検索ボリューム
- 競合難易度
- 優先度
- 担当者
- 公開予定日
効果測定を続けながら改善する
キーワード戦略は、実行したら終わりではありません。
月次でチェックすべき指標
- 各キーワードの検索順位
- オーガニック流入数の推移
- キーワード別のCTR(クリック率)
- コンバージョンへの貢献度
この数値は毎月きちんと確認しましょう。
Search Consoleの「検索パフォーマンス」レポートを見れば、これらの数値はすべて確認できます。
順位は高いのにCTRが低いキーワードはタイトルやメタディスクリプションを改善することで、流入を増やせる可能性があります。
うまくいったキーワードから学ぶ
成功パターンを見つけられると、次の施策でそのパターンを活用することができます。
順位が上がったキーワード、コンバージョンにつながったキーワードには、必ず共通点があります。それは検索意図かもしれませんし、コンテンツに関わることかもしれません。成功要因を分析して、他のキーワードにも応用していきます。
AIツールを使ってキーワード戦略を加速させる
ChatGPTやClaudeなどのAIツールは、キーワードリサーチでかなり使えます。
ペルソナベースでキーワードを発想
【プロンプト例】
「30代の中小企業経営者が、売上向上のためにWebマーケティングを検討する際に、Googleで検索しそうなキーワードを20個提案してください」
競合分析の補助として活用
【プロンプト例】
「『SEO対策 費用』というキーワードの検索意図を分析し、関連する悩みや疑問を10個挙げてください」
ロングテールキーワードの発見
【プロンプト例】
「『ホームページ制作』に関連する、地域名や業種を含む具体的な検索キーワードを15個生成してください」
ただし、AIが提案したキーワードをそのまま使うのは危険です。
実際の検索ボリュームを必ずキーワードツールで確認し、自分自身でも実際に検索してみて、本当にユーザーが使っている言葉かどうかをチェックしましょう。
AIツールの効果的な使い方は、アイデアを得ることや情報収集です。人間では思いつかないような切り口のキーワードが見つかることがあります。これからの集客の取り組みには欠かせないツールですね。
キーワード戦略は継続が命
キーワード戦略で最も大切なのは、継続することです。
インターネット内は常に変化していて、新しい検索キーワードが毎日生まれて、競合も取り組みや戦略を変えてきます。なので、一度作った戦略に固執せず、データを見ながら柔軟に調整していく。この積み重ねが、安定したオーガニック検索からのアクセスを生み出します。
私がサポートさせていただいた、コンテンツSEOで成功している中小企業に共通しているのは、月1回は必ずキーワードをはじめとするデータをチェックして見直しているということです。新しく出てきた検索クエリ、順位が下がり始めたキーワード、競合が新たに狙い始めたキーワードななどの変化をいち早くキャッチして、次の取り組みを行なっていっています。
キーワード戦略とペルソナ活用のまとめ
コンテンツSEOで成果を出すためのキーワード戦略とペルソナ活用について、いくつかのポイントで見てきました。
重要なポイント
- データと顧客の声からペルソナを作る
- 競合分析で市場の実態を理解する
- 検索意図でキーワードを分類する
- ビジネスインパクトで優先順位をつける
- データを見ながら継続的に改善する
コンテンツSEOで成果を出すには、まず「誰に向けて書くか」を明確にします。Google Analyticsの数値データと実際の顧客の声などを組み合わせてペルソナを作り、なんとなくで考えたものではなく、リアルなターゲット像がわかるようになります。
そして、ペルソナを持って業界を見渡すと、競合がどんなキーワードで戦っているかがより鮮明に理解できるようになります。自社の視点だけでは気づかなかった業界の実態が見えてきて、そこから集めたキーワードを検索意図でわけると、ユーザーが本当に求めているものがより明確になります。
ただ、すべてのキーワードを追いかけることはできないので、自社のビジネスへの貢献度を軸に優先順位をつけて、効果的に取り組めるようにしていきます。そして、大切なことは、一度決めた戦略を実行して終わりにするのではなく、データを見ながら継続的に改善していくことです。これを続けていくことで、成果につながるキーワード戦略が完成していきます。
今回の内容は、前回の「コンテンツSEOがオーガニック検索流入を最大化する理由」と合わせて読むと、コンテンツSEOの全体像がよりわかりやすいと思います。あわせてご覧ください。
キーワード戦略を含むコンテンツSEOについては、当社ブログの「Web集客でのコンテンツ充実の重要性」でも解説しています。より幅広い視点でWeb集客を考えたい方は、ぜひご覧いただければと思います。
当社では、10ヶ月の伴走支援型のWebコンサルティングを通じて、ペルソナ設計からキーワード戦略、そして実際のコンテンツ制作まで、一貫してサポートしています。アドバイスをするだけではない、取り組みの実務をサポートしながらそのスキルを身につけられるコンサルティングです。
コンテンツの充実に取り組みたい方、自社サイトの見直しをお考えの方は、一度ご検討ください。
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