前回の記事「テクニカルSEOでWebサイトの評価を向上させる」では、テクニカルSEOの基本や重要性について見てみました。今回は、実際にWebサイトのテクニカルSEOをチェックするための具体的なポイントをまとめ、チェックシートを作成してみました。
このチェックシートは 「検索エンジンがあなたのホームページを正しく理解して、高く評価するための技術的なポイント 」を40項目にまとめたものです。SEOに詳しくない方でも、このリストを見ながらひとつずつ確認していけば、Webサイトの「見えない品質・性能」をチェックすることができます。
記事の最後に、印刷して使えるPDF版のチェックシートも用意しましたので、ぜひダウンロードしてお使いください。
目次
テクニカルSEOとは
テクニカルSEOは、検索エンジンがあなたのサイトを正しく理解できるようにし、さらにユーザーの使いやすさを向上させるための親切な配慮を行うために、Webサイトの「性能」を整える作業です。コンテンツを充実させることもすごく大事ですが、テクニカルSEOで性能を高めることもすごく重要です。
正しく最適化すると、検索順位が上がり、サイトの表示が速くなり、ユーザーが使いやすくなりと、多方面でその効果を発揮します。「作って終わり」ではなく、きちんとチューニングすることでホームページの価値がどんどんと高まっていきます。
ではチェックポイントを見ていきます。
テクニカルSEOチェックシート40項目
チェックシートは5つのカテゴリーに分けています。
それぞれの項目をチェックして、対応できていない部分を改善していきましょう。
1. セキュリティと基本設定(8項目)
セキュリティはユーザーの信頼とGoogleからの評価の両方に直結する重要な要素です。
- [ ] すべてのページがHTTPS化されている
- [ ] HTTP版から適切にリダイレクトされている
- [ ] 混在コンテンツ(HTTP/HTTPS混在)の警告がない
- [ ] セキュリティヘッダー(X-XSS-Protection, X-Content-Type-Options等)が適切に設定されている
- [ ] WordPressのコアファイルが最新バージョンに更新されている
- [ ] 使用しているテーマやプラグインが最新のものに更新されている
- [ ] 不要なプラグインが削除されている(15個以下が理想)
- [ ] 定期的なバックアップが自動化されている
2. モバイル対応(8項目)
2021年以降、Googleはモバイルファーストインデックスを完全導入しました。スマホでの表示が検索順位に大きく影響します。
- [ ] すべてのページがモバイルフレンドリーテストに合格している
- [ ] スマホで文字が読みやすいサイズになっている(16px以上推奨)
- [ ] タップ要素(ボタン・リンク)が十分な大きさと間隔を持っている(44px×44px以上)
- [ ] 横スクロールが発生していない
- [ ] メニューがスマホで使いやすく最適化されている
- [ ] フォームの入力がスマホで行いやすい設計になっている
- [ ] モバイルビューでの広告やポップアップが過剰でない
- [ ] テキストと背景のコントラスト比が十分ある(AA基準以上)
3. ページ表示速度(8項目)
ページの表示速度はユーザー体験とコンバージョン率に直結します。Googleのコアウェブバイタルも重要な指標です。
- [ ] LCP(最大のコンテンツの表示時間)が2.5秒以内
- [ ] INP(インタラクションの応答速度)が200ミリ秒以内
- [ ] CLS(視覚的安定性)が0.1以下
- [ ] 画像が適切に圧縮され、次世代フォーマット(WebP等)を使用している
- [ ] 遅延読み込み(Lazy Loading)が実装されている
- [ ] JavaScriptの読み込みが最適化されている(async/defer属性の使用)
- [ ] CSSが最適化されている(未使用CSSの削除)
- [ ] ブラウザキャッシュが適切に設定されている
4. サイト構造とURL(8項目)
適切なサイト構造はユーザーと検索エンジンの両方にとって重要です。
- [ ] すべての重要ページが3クリック以内でアクセスできる
- [ ] 適切なパンくずリストが実装されている
- [ ] XMLサイトマップが最新情報に更新されている
- [ ] robots.txtファイルが適切に設定されている
- [ ] 404エラーページが適切にカスタマイズされている
- [ ] URLが簡潔で理解しやすい構造になっている(日本語URLは避ける)
- [ ] ページ間の内部リンクが適切に設置されている
- [ ] カテゴリやタグの構造が整理されている(重複や未使用のものがない)
5. HTML構造とコンテンツ最適化(8項目)
HTMLの適切な構造化は、検索エンジンがコンテンツを理解するために非常に重要です。
- [ ] 各ページにユニークなタイトルタグとメタディスクリプションがある
- [ ] H1タグは各ページに1つだけ使用されている
- [ ] 見出し(H1〜H6)が階層的に使用されている
- [ ] すべての画像に適切なalt属性がある
- [ ] 構造化データ(Schema.org)が実装されている
- [ ] 記事の更新日が明示されている
- [ ] PDFやビデオなどの非テキストコンテンツが適切に最適化されている
- [ ] 関連記事や推奨コンテンツへのリンクが適切に設置されている
チェックシートの活用方法
このシートの使い方
難しそうに見えるかもしれませんが、すべてを一度に完璧にする必要はありません。まずは気になる箇所や自分でできそうな項目から取り掛かるのが良いです。
例えば月に1回、「今月はページ速度をチェックしよう」みたいに少しずつ取り組んでいくのがおすすめです。
次のようなペースで見直していくといいかもしれません。
- 毎月1回 → ページ表示速度と404エラーをチェック
- 3ヶ月に1回 → 全体的なチェックリストで確認
- 半年に1回 → もっと詳しい分析ツールで全部チェック
- 更新したとき → 更新したページを中心にチェック
少しずつでも続けていくと、サイトの品質がきちんと高まっていきます。
焦らず、ゆっくりで良いのでコツコツと進めていきましょう。
改善の順番
すべての項目を一度に対応することはできません。
なので、取り組む順番を決めて進めていくと、効率的に改善できます。
- セキュリティ関連(HTTPS化、WordPress更新など)
- クロール・インデックス関連(robots.txt、サイトマップなど)
- モバイル対応の深刻な問題
- ページ速度の改善
- その他の最適化項目
まずは、ユーザーファーストで取り組むのをオススメします。ユーザーの使いやすさに直接影響する項目から取り組むと効果的です。
便利なチェックツール
テクニカルSEOの状態を確認するのに役立つ無料のツールをいくつかご紹介します。
Google Search Console
Google Search Consoleは、Googleがあなたのサイトをどのように認識し、インデックスしているかを確認できる無料ツールです。このツールは実際の検索結果のデータが反映されるので、テクニカルSEOには欠かせないツールと言えます。
Search Consoleで出来ること
- インデックス登録状況(どのページが検索に表示される可能性があるか)
- 検索パフォーマンス(どんなキーワードでどのくらい表示・クリックされているか)
- モバイルユーザビリティの問題点(スマホ表示の問題)
- ページエクスペリエンス(コアウェブバイタルなどの状況)
- クロールエラー(Googleボットがサイトを巡回する際に発生した問題)
- セキュリティの問題(マルウェアやハッキングの可能性)
- 構造化データの問題やエラー
使い方
- Googleアカウントでログイン
- 「インデックス」→「カバレッジ」でサイトの状況確認
- 「検索パフォーマンス」でキーワードごとの表示回数やクリック数を確認
- エラーや警告があれば対処していく
Google Search Consoleは完全無料で使えるSEOの必須ルールです。一度設定すれば、データが自動的に蓄積されていくので、週に1回程度チェックする習慣をつけるだけで、サイトの問題点を早期に発見できます。また、他のSEOツールでは見られない「Googleの目線」からの評価が直接わかるので、検索順位向上のヒントが見つかります。
PageSpeed Insights
PageSpeed Insightsは、ページの表示速度やユーザー体験を分析する無料ツールです。スマホとデスクトップの両方でチェックができ、改善すべきポイントも具体的に教えてくれます。
PageSpeed Insightsで出来ること
- ページの読み込み速度(LCP:最大のコンテンツが表示されるまでの時間)
- インタラクションの応答性(INP:ユーザーの操作に対する反応速度)
- 視覚的安定性(CLS:ページの要素が読み込み中に移動する度合い)
- 最適化の機会(画像圧縮、JavaScript最適化、CSS最適化など)
- 診断情報(ブラウザキャッシュ、DOM要素数、リソースサイズなど)
- 画像・動画の最適化状況
- フォントの読み込み方法の問題点
URLを入力するだけで誰でも簡単に使えるので、ページを更新したらすぐにチェックする習慣をつけると、表示速度の低下を早期に発見できます。
使い方
- PageSpeed Insightsにアクセス
- 分析したいページのURLを入力して「分析」をクリック
- モバイルとデスクトップの両方のタブをチェック
- スコアを確認(90以上なら良好、50-89なら要改善、50未満なら要注意)
- 「主要な指標」でLCP、INP、CLSの値を確認
- 「診断」セクションで具体的な問題点を確認
- 「改善できる項目」の提案に従って対策を実施
- 改善後に再度分析して効果を確認
URLを入力するだけで誰でも簡単に使えるので、ページを更新したらすぐにチェックする習慣をつけると、表示速度の低下を早期に発見できます。さらに、競合サイトのURLを入力してチェックすれば、ライバルとの差も確認できるので参考になりますよ。
テクニカルSEOで集客力アップ
テクニカルSEOは「目に見えない部分の品質」を高める作業です。
効果もすぐに現れないところもあるので、ちょっと地道な作業かもしれませんが、この記事で紹介したチェックリストを使って少しずつ改善していくと、確実にホームページの評価は上がっていきます。
すべてを自分でやるのは大変だな…と感じたら、プロに相談するのもアリです。テクニカルSEOは専門的な知識が必要な分野なので、当社のWebコンサルティングでもお手伝いしています。サイトの診断から改善、集客の実践までサポートしますので、気になる方はぜひご相談くださいね。
初回相談は無料です。
いつでもお気軽にご相談ください。
PDF版チェックシートのダウンロード
この記事で紹介したチェックシートは、PDF形式でもダウンロードできます。印刷して使うとチェックしやすいので、ぜひ活用してみてください!