多くの日本人に言えることなんですが、カタチの無いモノの評価が非常に低い。
デザインやデジタルコンテンツ制作、コンサルティングサービスなどを提供している私はよく感じることがある。
今日、これに関するいくつかのことがあった。
今朝、Facebookで見かけた記事が初めでした。
■【特許ウォーズV~中小企業の苦悩(中)】
血の気が引く中国企業の大胆な模倣品 意匠、商標も標的
http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/130206/wec13020611420000-n1.htm
日本の企業の海外進出における苦悩、特に「知的財産」というカタチの無い権利についてを実例をあげて紹介されている記事です。
一般的に知的財産=特許と思われがちだが、知的財産権とは技術の「特許」、デザインの「意匠」、ブランドの「商標」の3つに分類される。
今のところどれも、日本国内では何も気にせず考えずにいて、ほぼ面倒なことは起こらない。
ただ、海外では全く話が別。
手に取れるカタチはないが、きちんとした権利であり、価値あるモノであり、そこには戦いもある。
Appleやサムスンなどのニュースで知っている人も多いはずなのに、知識というとほぼゼロに等しい。関心が無く、価値を見いだせてないのだと思う。だから取り組みも遅れている。それが苦悩というカタチで大きくのしかかっているんだと思う。
さらに、お昼頃に、これまたFacebookで流れてきた内容。
■デザインの力で、行政を変える!!~天王寺区広報デザイナーを募集します~
http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/tennoji/0000203439.html
デザインの力で、行政を変える!!と銘打って、大阪の天王寺区役所が広報デザイナーを募集する報道発表資料です。
そこで多くのデザイン関係者が引っかかったのが、この部分。(現在は変更の文章が入ってますが)
5.報酬
なし
ただし、天王寺区役所として以下の内容について実施します。
・「天王寺区広報デザイナー」について、区ホームページ・広報紙等で紹介します。
・広報デザイナーが作成したポスター等にはデザイナー作であることを明記します。
・ホームページで事業の周知を行う際に、ポスター等がデザイナー作であることについても同時に周知を行います。
要は、タダでデザインしろと。
その代わり、天王寺区役所のいろんなところで名前載せたげるってことです。
自分には「その程度で十分でしょ。」と言われているように感じた。
他の人もそう感じている人が多かった。
正直、デザイン制作などをやっていると日常に良くある話なので、ものすごく腹が立つというよりも残念な感じがした。
デザイナーと企業のマッチングとか、デザインの価値をあげていく取り組みをしている機関が大阪市、大阪府にあるのですが、それ以外の機関では「やっぱりこの程度か」と感じた。
ここでもデザインというカタチの無い価値が軽んじられているように思った。
すごく悪気があって書いているのではなく、自然にこういう内容になって、だれも違和感を感じること無く、そのまま発表したんだと思う。カタチの無いモノにもともと価値を感じていないからこうなってしまったんだと思う。
すべての人がこうだとは思わないが、まだまだ日本人には多いと思う。
これは文化的なレベルを表している気がする。
中国が勝手にキャラクターを使用したりして大騒ぎになるが、日本もあまり変わらないんじゃないでしょうか。
現に、最近のニュースでこんなのもあった。
■甲府のキティ神社、3日で撤去 サンリオと未契約
http://www.asahi.com/national/update/0129/TKY201301290335.html
計画段階で「ちょっとしたほこらをつくりたい」とサンリオ側に相談したが、契約が必要とは知らなかったという。
キティちゃんという誰もが知っているキャラクターを無断で使って、契約が必要とは知らなかっただそうです。
ほんの少し考えればわかると思うのだが。
まわりにいた関係者は誰も違和感を感じなかったんでしょうか。
最近のニュースだけでも、これだけある。
公になっていない小さい事なら、もっともっと多いと思います。
うちのようなところでも、「チャチャっとサンプルでデザイン出しといて!」って言われることがある。悪気がある感じで言われてるのではないので、きちんと説明してデザイン制作のことをわかってもらうようにしていますが、ままある。
こういった無形の価値は、日々の中でも多くある。
デザイン、広告、知的財産だけでなく、飲食店での接客、もてなしや人から人へのの心遣いなんかもそれにあたるんじゃないかと思います。
やっぱりカタチの無いモノに価値を見いだすのは難しいですが、気づいていない理解しない人は無関心、無知と思われるだけじゃなく、社会での活躍の場も無くなっていくのではないかと思います。
このように取り上げられて来ている状況は、みんなが注目してくれ、価値をわかってもらえる良い機会なので、これはこれでいいのかもしれせん。
前から感じていたことなので、ちょっと書いてみました。
読んで気を悪くした人がいたらごめんなさい。